ステラトップガンの2歳夏を振り返る ― 1勝は挙げた。でも宿題も見えた

広尾サラブレッド倶楽部

デビューから約2か月で3戦。新馬2着 → 未勝利勝ち → クローバー賞7着。そして札幌2歳ステークスはパスして、いったん放牧へ。

ステラトップガン(牡2歳、栗東・高柳大輔厩舎)の慌ただしかった夏を、レース内容・調教時計・馬体重の3つから振り返ってみます。

まずはプロフィールから

項目 内容
馬名 ステラトップガン(Stellar Top Gun)
血統 父モズアスコット × 母ステラリード
半兄 パラディオン
育成 シュウジデイファーム(北海道・浦河)
厩舎 栗東・高柳大輔厩舎

馬名は母名の一部+映画名から。3月16日に正式決定しました。トップガンって名前、正直かなり良くないですか。

育成期は「優等生」だった

牧場から一貫して聞こえてきたのは、気性の良さでした。

騎乗馴致が始まったばかりの頃から「ステラリードの仔にしてはすごく落ち着きがあって行儀よくしてくれている」(岸本担当)。集団調教では先頭に立って誘導役を務められるくらいで、母系の気の強さを父モズアスコットがうまくマイルドにしてくれている、という見立てでした。

とはいえ1歳の秋あたりからは「騎乗前やコース入り時にチャカチャカする」場面も出てきて、血統なりのテンションの高さはやっぱり顔を出します。それでも調教では制御が利いて、坂路の行きっぷりはずっと良好。

  • 26.03.20:終い2F 15-13 を余裕をもって
  • 26.04.03:終い3F 15-15-13 で登坂
  • 26.05.15:3F40秒を切る時計も織り交ぜる

「成長の進度や完成度といった点で一歩リードしているような印象」(26.04.03)という評価どおり、6月6日に函館競馬場へ入厩。6月11日のゲート試験も、入厩後に確認する程度ですんなり合格しています。

馬体重は馴致開始時の400kg(25年7月上旬)から1歳12月には453kgまで増えました。ただ大きく見せるタイプではなくて、「実が詰まっていて、体にハリ感がある」(26.05.01)という詰まった造り。ここは後々の伏線になります。

レース結果

日付 開催 レース名 距離 騎手 斤量 頭数 人気 着順 馬体重
26.08.22 札幌9R クローバー賞(2歳オープン) 芝1500 松山弘平 55 14 5 7着 442
26.07.19 函館1R 2歳未勝利 芝1200 鮫島克駿 55 8 1 1着 444
26.06.27 函館5R 2歳新馬 芝1200 鮫島克駿 55 8 1 2着 442

新馬戦(6/27・函館芝1200/2着)

最内枠で物見をしてしまい、発馬からの進みがいまひとつ。序盤は先団からやや離された最後方でした。それが向正面で外に出すと動き出して、3〜4コーナーから大外を一気にまくり上げ、直線では先頭を窺うところまで。……が、ゴール直前で内をジッと立ち回っていた馬にスッと掬われて2着。

「初戦ですし、まだちょっと太めが残っているかな(馬体重442kg)という感じでした。最内枠で物見をして前に進んでいってくれませんでしたので、外へ出して行ったというわけです。(中略)叩いて良くなる馬でしょうから、次はイイと思います」(鮫島克駿騎手)

負けはしたものの、あの位置から大外を回して押し切りかけたわけで、能力の片鱗は十分でした。

未勝利戦(7/19・函館芝1200/1着)

泥んこの重馬場。今回もやや遅れ気味のスタートで、最後方から2〜3頭目を追走。直線入口で外めに持ち出されると、最後はまとめて差し切って先頭ゴール。断然の1番人気に応えて初勝利です。

「調教でも一頭にして色々と対応させているのですが、やはり物見をしますね。ゲートの出も良くなかったですし、道中もそんな感じで進みがもうひとつ。それでも外に出したら、しっかりと伸びてくれました。こういう(重)馬場もまったく問題なかったです。1200mは少し忙しい感じでしょうか。1500か1800mで言えば、個人的には1500mのほうが合っているような気がします」(鮫島克駿騎手)

道悪を苦にしなかったこと、そして道中のロスを末脚だけでチャラにしたこと。この2つは大きな収穫でした。

クローバー賞(8/22・札幌芝1500/7着)

初のオープン、初の1500m。ゲート自体はそれなりに出たものの、今度は前半の追走で手一杯になってしまい、離された後方から。4コーナーで外めを回して差を詰め、最後はひと追いごとに伸びましたが、さすがに前とは差がありすぎました。

「1200mに使っていた馬ですし、距離延長でもう少し楽について行けるかと思っていましたが、見ての通り、前半ついて回れませんでした。物見をすることはしますが、慣れてくれば問題ないレベルなのではないでしょうか。最後は脚を使ってくれていますけど、さすがに前半離されすぎましたよね。距離は1800mくらいまでかなと。1500m前後で問題ないと思います」(松山弘平騎手)

距離を延ばせば楽に流れに乗れるはず、という目論見が外れた形。ただ「物見は慣れれば問題ないレベル」との言葉もあり、悲観する内容ではなさそうです。

ちなみにレース前には「また出遅れてしまうかもしれませんが、今回は1500mですので、それほど問題にはならないと思います」(友道助手)というコメントもありました。ゲートは出たのに追走で置かれた、というのはちょっと想定外だったのかもしれません。

調教タイムを並べてみる

日付 騎乗 場所・馬場 時計 併せ馬
26.08.19 鮫島駿 札幌芝・良 5F - -68.1-51.4-36.2-11.7(8) 馬ナリ余力
26.08.14 鮫島駿 札幌ダ・良 6F -82.9-66.6-51.8-38.3-11.9(4) 強めに追う
26.07.15 鮫島駿 函館W・良 5F - -72.4-56.6-42.2-12.7(6) 馬ナリ余力
26.07.12 鮫島駿 函館W・不 3F - - - -45.5-13.6(8) 馬ナリ余力
26.06.24 鮫島駿 函館芝・稍 5F - -65.0-50.0-36.6-11.4(8) 一杯に追う ミハテヌユメ(新馬)馬なりの外0.7秒追走同入
26.06.21 見習 函館W・良 半哩 - - -56.1-40.7-12.5(7) 一杯に追う イッペイ(新馬)馬なりの内0.6秒追走1.2秒先着
26.06.17 見習 函館W・良 5F - -68.3-54.0-40.5-13.8(5) 馬ナリ余力 アークレオン(新馬)強めの内0.3秒先着
26.06.14 鮫島駿 函館W・良 5F - -72.8-56.9-42.3-13.5(5) 馬ナリ余力 アークレオン(新馬)馬なりの外同入

目を引くのはクローバー賞前の8月19日。札幌芝5F 68.1-36.2-11.7を馬ナリ余力ですからね。デビュー前の6月24日(芝稍重 5F 65.0-36.6-11.4/一杯に追う)と並べても、動きそのものはずっと高評価でした。

「動き自体は軽快でいい走りでした。まだまだ子供っぽさはあるものの、今回帰ってきてからは大分おとなしくなっています」(現地スタッフ) 「良い動きでした。札幌に入ってからメンタルもフィジカルも函館の時より良く感じます」(鮫島克駿騎手)

つまり「調教では動くのに、実戦では前半に置かれる」。このギャップが今のこの馬なんですよね。追走のスピードを持続させるだけの体力が、まだ追いついていないのかもしれません。

そして馬体重の話

時期 馬体重
25年7月上旬(馴致開始) 400kg
25年12月下旬 453kg
26年1月下旬 452kg
26年2月末 445kg
26年3月末 440kg
26年4月末 445kg
26年6月中旬(入厩後の計測) 436kg
新馬(6/27) 442kg
未勝利(7/19) 444kg
クローバー賞(8/22) 442kg
現在(8/27時点) 438kg

1歳の冬に453kgまで乗せた馬体が、入厩後は436〜444kgのレンジ。そして3戦を終えた今が438kgです。

もともと小柄なうえに、夏の連戦で増やす余地がまったくなかった。前半の追走で苦労している現状と、この数字は無関係じゃないと思います。

今後は?

「栗東近郊へ戻すか、それとも続けてもう一戦が可能かどうか。前走後の様子や体調を見ながら考えていましたが、馬体重が438kgとまだ戻りきっていませんからね。先々もあることですし、ひとまず札幌2歳ステークスはパスして今後に備えたいと思います。来週あたりに栗東へ移動の上、いったん放牧を挟む予定です」(高柳大調教師)

札幌2歳Sは見送り。栗東へ移動して放牧、という流れです。「まだまだ成長途上の段階でもありますし、慌てることなく様子を見ながら」(HTC)というスタンスで、ここは納得の判断だと思います。

まとめ ― 秋に向けてのポイント3つ

1. 距離は1500m前後

鮫島騎手も松山騎手も「1500m〜1800mくらいまで」で見解が一致。1200mはちょっと忙しい。秋は1500〜1800mが主戦場になりそうです。

2. 課題は道中の追走

新馬・未勝利はゲートで後手、クローバー賞はゲートは出たけど追走で置かれた。形は違えど、末脚を使う前に勝負が決まってしまっているのは3戦共通です。ここが改善したら着順は一気に変わるはず。

3. 鍵は放牧明けの馬体

438kgからどれだけ増やして戻ってこられるか。これに尽きます。連戦で消耗した夏を経て、ひと回り大きくなって帰ってくれば、すでに見せている末脚が生きる場面は間違いなく増えるでしょう。

すでに未勝利は勝ち上がって1勝クラス。焦らず立て直せる立場にいるのは、この馬の一番の強みです。秋の再始動、楽しみに待ちましょう。

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