今回、おすすめする競馬本は、
「美浦トレセン発」非公式発言・ファンが知るべき競馬の仕組み
です。
著者は谷中公一さん。
元騎手で元調教助手。
2007年発売の本ですが、当時は調教助手をやられていました。
通算成績は2279戦145勝で、重賞勝ちなし、G1騎乗回数も1回と
お世辞にも活躍したとは言えない騎手成績です。
落馬での腰椎骨折の後遺症により引退。
足は痛みどころか感覚がなくなるほどだったそう。
そんな元”崖っぷちジョッキー”である
谷中さんが、騎手がおかれている現状や
JRAが抱える問題点などについて言及されています。
武豊騎手などのトップジョッキーには見えない世界。
それはサラリーマンの私と、さして変わらない競馬の世界でした。
その中でも、特に興味深かったのは
「騎手の腕」についてと、「優先出走権の弊害」についてです。
まず、「騎手の腕」について。
レースに出走するありとあらゆる馬が、
すべて同じ能力、すべて同じ体調だったら、
10あるレースのうち7は武豊が勝つだろう。
しかし一方で、ジョッキーの技術の差そのものは、
さして大きなものではない。
武豊の持っている力を100としたら、
ほとんどすべてのジョッキーの力は97を超えていると思う。
(中略)レースの結果を左右するようなファクターかと言えば、違う。
よくTwitterなどで、「騎手を変えろ」とか
「こいつはヘタクソ」などという発言をよく見かけますが、
谷中さんの話が本当であれば、的外れですね。
つぎに、「優先出走権の弊害」のはなし。
昔は優先出走権がなく、除外馬がたくさん発生していたらしいです。
一流ジョッキーに対して
「この馬は除外になる確率が高いけれど、登録させてください」とは、
厩舎サイドはなかなか言いにくい。(中略)
結果、僕のようなジョッキーでも毎週1頭とか2頭は乗れた。
”クジ運”がいいときは、4頭とか5頭の馬に乗ることができた。
これって、現在の外国人ジョッキーが席巻している
理由の1つではないでしょうか。
下位リーディングの若手が馬に乗れなくなって
成長する機会が奪われている。
かつてのトップジョッキーも加齢による衰えが見え隠れ。
そんな中、ピーク真っ盛りの海外からのトップジョッキーがくる。
まぁ、外国人ジョッキーが駄目なわけではないですが、
関西でいえば、河内、南井、田原、武豊、藤田といった
個性の違う騎手が競い合っていた時代が懐かしいです。
その他にも八百長についてや、馬の体調についてなど
興味深い事実をわかりやすく書かれています。
是非、ご一読を。
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